
ニュースなどでも報道されている通り、物流業界は現在大きな転換期を迎えています。
インターネット通販の配達などで身近に感じる話題ですが、実は私たちが製作している「特注店舗什器」の業界にとっても、決して他人事ではない大きな問題だと言われています。
今回は、この物流問題が店舗づくりにどのような影響を与えるのか、そして業界全体でどのような対策が考えられているのかをご紹介したいと思います。
目次
そもそも「物流2024年・2026年問題」とは?
この問題の背景には、物流業界の働き方改革があります。
2024年問題とは?(運べる荷物の減少)
2024年4月から、トラックドライバーの方々の時間外労働に「年間960時間」という上限が設けられました。
労働環境が改善される一方で、ドライバー一人が1日に走れる距離や時間が短くなります。
その結果、これまでのように遠方へ運んだり、たくさんの荷物をさばいたりすることが難しくなり、日本全体で「モノが運べなくなる」リスクが高まっています。(何も対策をしないと、2030年には全国の輸送力の3割以上が不足するという試算もあるそうです)。
2026年問題とは?(荷主への協力義務化)
こうした危機に対応するため、2026年4月には新しい法律(改正物流効率化法)が本格的にスタート。
これは、運送会社に任せきりにするのではなく、一定規模以上の「荷物を手配する側(荷主)」にも物流の効率化を法律で義務付けるというものです。
たとえば、トラックが現場に到着してから荷降ろしが始まるまでの「荷待ち(待機)時間」や、実際の「積み下ろし作業にかかる時間」を短縮するよう、荷主側も物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の作成など責任を持って取り組まなければならなくなります。

完成品什器は「空気を運んでいる」状態になりやすい
店舗什器は、サイズが大きく形状もさまざまです。工場で綺麗に完成させた状態でトラックに積み込むと、どうしても隙間がたくさんできてしまい、極端に言えば「空気を運んでいる」ような状態になりやすいのです。
一度に少ししか運べないため、今後はトラックの手配自体が難しくなったり、運賃が大きく上がってしまったりして、店舗開発の予算を圧迫するのではと懸念されています。

輸送費を半減させる「ノックダウン(分割)設計」
こうした輸送コストの高騰に対して、全国に何十店舗も展開するような大型プロジェクトや大型店舗では、「ノックダウン(分割)設計」という手法が注目されています。
これは、工場で完成形まで組み上げず、パーツごとに平らにした状態(フラットパック)で運び、お店の現場で組み立てるという作り方です。
パーツを重ねて梱包すれば、1台のトラックに積める量がグッと増えるため、結果的に輸送にかかるコストを大きく抑えることができます。

分割しても現場を困らせない「金物」の工夫
ただし、分割して運ぶ方法には「現場での組み立てが大変になる」という弱点があります。
現場の職人さんの作業時間が増えてしまえば、2026年問題で求められる「作業時間の短縮」にも逆行してしまいます。
そこで、大規模な什器製作の現場では、こんな工夫も取り入れられているようです。
- ワンタッチジョイント金物の活用
たくさんのビス(ネジ)を打つ代わりに、パーツ同士をカチッと嵌め込むだけで固定できる特殊な金物を使う方法です。
これなら、現場での作業時間を大幅に短縮できます。 - パーツの共通化(モジュール化)
「どの板をどこに繋ぐのか分からない」という現場での混乱を防ぐため、パーツの寸法を統一し、直感的に組み立てられるように設計を工夫します。

まとめ:これからの什器は「どう運ぶか」も想像しながら設計する
いかがでしたでしょうか。今回は業界全体の少しスケールの大きな事例をご紹介しました。
弊社のような小ロットやオーダーメイドの特注什器がメインの場合、現場での組み立て作業費(人件費)が発生すると、安くなった分の輸送費以上にかえってトータルコストが高くなってしまうことがよくあります。そのため、何でも分割設計にすれば良いというわけではありません。
しかし、物流がますます厳しくなるこれからの時代は、「ただ美しく頑丈に作る」だけでなく、「どうすれば現場までスムーズに運べるか」という視点が今まで以上に大切になってくると感じています。
ちょっとした形状の工夫や、現場でジョイントしやすい設計を取り入れることで、運んでくださる方にも、現場で設置する方にも優しい什器づくりを目指していきたいと考えています。
最後になりますが、ニュース等で物流問題を見聞きして「うちの什器は無事に届くのだろうか」とご心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
運送業界全体の値上げに伴う運送費のアップはございますが、弊社では日頃からお付き合いのある運送会社様との連携により、現時点では滞りなくトラックを手配し、確実にお届けできる体制を維持しております。どうぞ安心してご相談ください。

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