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特注什器の仕上げ加工講座⑧|什器の張地(ファブリック・ビニールレザー・本革)の特性と選び方

2026.05.22
什器コラム

特注什器の仕上げをプロが解説する本連載。 前回(Vol.7)では、空間に抜け感と演出効果をもたらす「ガラス・アクリルの装飾加工」について解説しました。

木材や金属、ガラスといった「硬い素材」が什器の骨組みを形成する一方で、お客様が直接触れるフィッティングルームのスツールや待合ベンチ、あるいはジュエリーショーケースの底面などには、「柔らかさ」や「温もり」を付加する「張地(張り加工)」が欠かせません。

今回は、什器製作で使われる代表的な3つの張地(ファブリック・ビニールレザー・本革)の特性と、商業空間ならではの「失敗しない選び方の基準」をプロの目線で解説します。

什器における「張地」の役割とは?

什器に張地を施す最大の目的は、「触り心地(ユーザー体験)の向上」「視覚的な高級感・温かみの演出」です。 硬質な空間にファブリックやレザーが少し入るだけで、店舗全体の印象はぐっと引き締まり、居心地の良さが増します。また、時計やアクセサリーなどの商品を傷つけずに美しくディスプレイするための「下敷き」としても重要な役割を担います。

 

代表的な張地の種類とプロの視点

①ファブリック(布地)

糸を織り上げて作られる布製の張地です。平織り、起毛(ベルベット・モケットなど)、ジャガードなど、織り方によって無数の表情があります。

  • 特徴
    温かみがあり、カラーや柄のバリエーションが最も豊富。通気性が良く、季節を問わず快適な肌触りです。
  • プロのこだわりポイント(汚れ対策)
    飲食店や不特定多数の人が利用するベンチでは、飲みこぼしや皮脂汚れが染み込みやすいのが弱点です。そのため、水や汚れを弾く「撥水・防汚加工(パールトーン加工など)」が施された商業用の生地を選ぶか、後加工でコーティングを施すのがプロの鉄則です。
特注 アクセサリーショーケース

 

② ビニールレザー(PVC・PU / 合成皮革)

布地の表面に合成樹脂を塗布し、本革のようなシボ(シワ模様)を型押しした人工素材です。

  • 特徴
    水や汚れに非常に強く、サッと拭き取れるメンテナンス性の高さが最大の魅力です。コストパフォーマンスにも優れています。
  • プロのこだわりポイント(耐アルコール・耐次亜塩素酸)
    昨今の店舗什器において、最も需要が高いのがこのビニールレザーです。特にクリニックや飲食店では、日々のアルコール消毒で表面がボロボロにならないよう、必ず「耐アルコール性・耐次亜塩素酸」の機能を持った高耐久なPVC(ポリ塩化ビニル)レザーを選定します。

 

本革(天然皮革)

牛などの天然の皮を鞣(なめ)して作られる最高級の素材です。

  • 特徴
    人工物には出せない圧倒的な高級感、しっとりとした手触り、そして使い込むほどに味が出る「経年変化(エイジング)」が楽しめます。
  • デメリットと注意点
    非常に高価で、水濡れや乾燥によるひび割れに弱く、定期的なオイルメンテナンスが必要です。また、天然素材ゆえに「傷」や「サイズ(1頭分の大きさ)」にバラつきがあるため、広い面積に継ぎ目なく張るのには適していません。ハイエンドなジュエリーケースの底面や、VIPルームのチェアなど、「ここぞという見せ場」に絞って使用するのがセオリーです。 

 

張地選びの比較まとめ

素材コスト感メンテナンス性高級感・意匠性主な用途
ファブリック低〜中△(防汚加工を推奨)〇(温かみ・柄)アパレルのスツール、雑貨ディスプレイ
ビニールレザー低〜中◎(水拭き・消毒可)△〜〇飲食店のベンチ、クリニックの待合室
本革非常に高×(専用手入れ必須)◎(最高級)高級時計・宝飾品のケース、VIP向け什器

商業施設で必須となる「防炎機能」の確認

店舗什器の張地を選ぶ際、デザイン以上に厳しくチェックすべきなのが「防炎性」です。 地下街や高層ビル、一定規模以上の商業施設では、消防法により「防炎物品」の使用が義務付けられているケースが多々あります。そのため、カタログのデザインだけで決めるのではなく、必ず「防炎マーク(防炎認定品)」を取得している生地かどうかを確認しなければなりません。

まとめ:デザインと機能(運用)のバランスが鍵

什器の張地は、空間の印象を左右するだけでなく、法規や日々のメンテナンス性、アルコール消毒への耐性など、店舗の運用に直結する重要な要素です。

コレカでは、空間のコンセプトに合わせた意匠性はもちろん、こうした実際の運用面や安全性も総合的に考慮し、最適な張地をご提案しています。張地選びや衛生面でのご不安があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

それでは、また次回。特注什器づくりのための仕上げ加工シリーズでお会いしましょう!

これまでのシリーズ一覧

特注什器の仕上げ加工講座①|塗装・粉体塗装・メッキ・電着塗装の違いと選び方をプロが解説

特注什器の仕上げ加工講座②|木口処理・エッジ仕上げの種類と特徴をプロが解説

特注什器の仕上げ加工講座③|ステンレスの研磨仕上げ(ヘアライン・鏡面・バイブレーション)の違いをプロが解説

特注什器の仕上げ加工講座④|化粧シート(ダイノック・リアテック)とメラミンの違い・選び方をプロが解説

特注什器の仕上げ加工講座⑤|サイン・ロゴ入れ加工(切り文字・シルク印刷・CS・UV印刷)の種類と選び方をプロが解説

特注什器の仕上げ加工講座⑥|木部塗装(クリア・染色・オイル)の種類と選び方をプロが解説

特注什器の仕上げ加工講座⑦|ガラス・アクリルの装飾加工(サンドブラスト・エッチング・フィルム貼り)の種類をプロが解説

 

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