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特注什器の素材講座⑩|「サステナブル素材」の選び方〜再生プラスチックから古材、FSC認証まで〜

2026.04.24
什器コラム

近年、アパレルショップやコスメブランド、オフィス空間に至るまで、空間づくりにおいて「サステナビリティ(持続可能性)」が強く求められるようになりました。什器製作においても、従来のメラミン化粧板や木材だけでなく、環境に配慮した新しい素材の選択肢が急速に広がっています。

素材講座の第一フェーズ最終回となる第10回は、これからの空間デザインに欠かせない「サステナブル素材」の種類や、人気の「古材」、そして近年クライアントからの要望が増している「FSC®認証」への対応について、プロの視点で解説します。

什器にサステナブル素材を取り入れるメリット

店舗やオフィスの什器に環境配慮型素材を採用することは、単なる「エコ活動」にとどまらない大きなメリットがあります。

  • 企業・ブランド価値の向上
    企業としての環境への取り組み(ESGやSDGs)を、来店客や従業員に視覚的・体感的に伝える強力なメッセージになります。
  • ストーリー性のある空間づくり
    「廃棄されるはずだった衣類からできた棚」「海洋プラスチックを再利用したカウンター」など、素材そのものが持つストーリーが、接客時のコミュニケーションツールになります。
「海洋プラスチックを再利用したカウンター」など什器にサステナブル素材を取り入れるメリット

 

注目のサステナブル素材:再生プラスチック

廃プラスチック(ペットボトル、キャップ、海洋ゴミなど)を粉砕し、熱でプレスしてシート状やボード状にした素材です。

  • 特徴とデザイン性
    細かく砕かれたプラスチックが混ざり合うことで、テラゾー(人造大理石)のような独特の美しいマーブル模様や斑点模様が生まれます。色鮮やかなものからシックなものまで、元の廃材によって表情が全く異なるのが魅力です。
  • 什器での活用アイデア
    水や汚れに強いため、レジカウンターの天板、商品ディスプレイ用のステージ、カフェのテーブル天板などの「見せ場」に最適です。

 

注目のサステナブル素材:環境配慮型ボード

木材の端材や、本来であれば廃棄されるさまざまな素材をアップサイクル(創造的再利用)して作られた建材ボードです。

  • 種類と特徴
    建築現場の廃材や間伐材を粉砕して固めたOSBボードやパーティクルボードなどがあり、無骨でインダストリアルな質感が人気です。最近では、廃棄衣料品(古着)やコーヒーの豆かす、もみ殻などを圧縮して作られた画期的なボードも登場しています。
  • 什器での活用アイデア
    壁面の陳列棚、什器のメインボディ(箱部分)、パーテーションパネルなどに幅広く活用できます。


環境配慮型ボードの什器:建築現場の廃材や間伐材を粉砕して固めたOSBボードを利用した棚の事例。

空間に歴史と温かみを宿す「古材」と「エイジング加工」

サステナブルな空間づくりにおいて、根強い人気を誇るのが「古材(リクレイムドウッド)」を活用した什器です。


サステナブルな空間づくりにおいて利用される「古材」のクローズアップ画像
  • 古材の魅力とストーリー
    解体された古い建築物や使われなくなった家具から取り出された木材を再利用する古材は、究極のアップサイクル素材と言えます。一つひとつ異なる傷や日焼け、釘の跡などが、新品の素材には絶対に出せない「歴史」や「温かみ」を空間にもたらします。オーガニックな雰囲気のカフェや、ヴィンテージライクなアパレル什器などに最適です。
  • 古材を扱う際の注意点
    一方で、古材は反りや割れが生じやすく、強度が均一ではないため、重いものを載せる棚板や精密な可動部(引き出しや扉など)には不向きな場合があります。また、一点ものであるため希少性が高く、材料費や加工費が高額になりがちという側面もあります。
  • プロの解決策「エイジング加工」という選択肢
    「サステナブルな古材の雰囲気は出したいけれど、強度や予算のハードルが高い」というクライアント様にご提案するのが、「新品の木材(またはFSC認証材)にエイジング加工を施す」という手法です。プロの塗装技術や物理的な加工(あえて傷や擦れをつけるなど)によって、長年使い込まれた古材のような味わい深い風合いを意図的に再現します。これにより、古材の持つ「エモーショナルなデザイン性」と、新品の素材が持つ「実用性・耐久性・コストバランス」を見事に両立させることが可能です。
エイジング加工を施した店舗什器の事例写真

クライアントから求められる「FSC認証」とは?

サステナブルな空間づくりにおいて、大手メーカーやブランドから什器製作時に要望されることがあるのが「FSC®認証(Forest Stewardship Council®)」を受けた木材の使用です。

  • FSC認証とは?
    「適切に管理された森林」から生産された木材や、その木材を使用した製品であることを証明する国際的な認証制度です。森林破壊を防ぎ、地域社会にも配慮している証となります。
  • 対応のポイント
    FSC認証材は、通常の木材に比べて流通量が限られており、樹種の選択肢が狭まったり、コストが割高になる傾向があります。また、最終的な什器そのものを「FSC認証製品」として謳うためには、加工・流通に関わる企業も認証(CoC認証)を取得している必要があるなど、非常にハードルが高いのが現実です。
    そのため、「まずは什器のベースとなる合板やMDFにFSC認証材を指定する」など、プロジェクトの予算・納期・目的のバランスを見極め、現実的で最適な「落としどころ」をご提案できるかが、私たちプロの腕の見せ所となります。

サステナブル素材を導入する際の「3つの注意点」

サステナブル素材や認証材は魅力たっぷりですが、特注什器として美しく、そして長く使うためには以下の点に注意が必要です。

  1. コストと予算のバランス
    製造工程に手間がかかっているため、一般的な量産素材と比較すると材料費が高価になる傾向があります。すべてをサステナブル素材にするのではなく、お客様の手や視線が触れる「天板」や「正面パネル」に絞って使用することで、予算を抑えつつ効果的な見せ方が可能です。
  2. 納期の確認(リードタイム
    FSC認証材の調達や、特殊なアップサイクル素材は、通常の木材よりも納期が長くかかる場合があります。プロジェクトの初期段階での素材決定と手配が必須です。
  3. サンプル確認の重要性
    リサイクル素材の性質上、カタログの写真と実際のロットで「色味」や「柄の入り方」が大きく異なることがあります。「一点ものの個性」としてポジティブに捉える必要がありますが、事前に大きめのカットサンプルでブレ幅を確認しておくことが重要です。

 

まとめ

特注什器におけるサステナブル素材の活用は、まだ発展途上の分野だからこそ、他店との明確な差別化を図れる大きなチャンスです。単なる「環境配慮」という理由だけでなく、「デザインとして圧倒的にカッコいいから」という理由で選ばれるフェーズに入ってきています。

今回で全10回にわたる「特注什器の素材講座」第一フェーズは完結です!素材の特性を正しく理解し、適材適所で使い分けることで、美しさと機能性、そして持続可能性を兼ね備えた最高の店舗空間を作り上げましょう。

 

これまでのシリーズ一覧

特注什器の素材講座①|スチール・ステンレス・アルミの違いをプロが解説

特注什器の素材講座②|化粧板とは?メラミン・ポリ・突板の違いと選び方をプロが解説

特注什器の素材講座③|プラスチック・樹脂の違いとアクリル板をプロが解説

特注什器の素材講座④|ガラスの種類と特徴をプロが解説

特注什器の素材講座⑤|合板・MDF・パーティクルボードの特徴と違いをプロが解説

特注什器の素材講座⑥|照明の種類・色温度・素材との相性をプロが解説

特注什器の素材講座⑦|人造大理石・人工大理石・天然石の違いをプロが解説

特注什器の素材講座⑧|タイルの種類と什器への活用法(陶器質・磁器質・モザイク)をプロが解説
特注什器の素材講座⑨|金物パーツ(スライドレール・丁番・脚・キャスター)の選び方をプロが解説

 

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