皆様、こんにちは。特注什器の現場から、什器たろうでございます。
今回は、空間に柔らかな印象を与える「R(曲面)パーテーション」の製作について、その裏側にある技術的なハードルと職人の工夫をご紹介いたします。
一見すると滑らかで美しい曲線ですが、これを現実の什器として形にする工程には、多くの困難が伴います。
1. 図面指示と、立体化における製作の難易度
美しい曲線を持つ什器はデザインとして非常に魅力的ですが、実際の製作となると一筋縄ではいきません。
設計の段階では、製作図面にてRの数値や寸法を細かく指示いたします。しかし、図面上では数値を指定するだけでR(曲面)を描くことができますが、これを現実の硬い木材やアクリルで寸分違わず立体化するには、極めて高度な技術と手間が要求されます。

2. 反発力との戦い。木工下地とメラミンの仕上げ
まずは土台となる木工部分の製作です。

この滑らかなカーブを作るため、内部の芯材をNC(数値制御)ルーターで正確なアール形状に削り出し、そこに「カーブ合板」と呼ばれる曲げに強い特殊なベニヤを沿わせて下地を作ります。
しかし、ここからが本当の難所です。表面の仕上げ材である「メラミン化粧板」を貼り付ける際、今回のようにR(曲面の角度)がきついと、硬いメラミン化粧板は元の平らな状態に「戻ろうとする」強い反発力を持ちます。この反発力を抑え込みながら、下地から浮かないように隙間なく圧着させる工程には、職人の熟練の力加減とノウハウが不可欠となります。
3. 木型と熱で成形する。アクリルの「炉曲げ」
木工部分のカーブが完成したら、次はその上部に立て込むアクリルパーテーションの製作に入ります。

このアクリル板も、元々は真っ平らな一枚の板です。指定された図面のR寸法に合わせて専用の「木型」を製作し、そこにアクリル板をセットして炉(オーブン)に入れ、熱を加えて柔らかくしながら曲げていく「炉曲げ(ろまげ)」という手法を用いて製作しています。
アクリルの厚みや気温によって熱の入れ方を微調整し、下段の木工部分のRと寸分の狂いもなく合わせる作業は、まさに職人技の結晶と言えます。
4. 空間にインストールされた柔らかな機能美

木工とアクリル、それぞれ異なる素材を別々のアプローチで曲げ加工し、最終的に現場で一つのパーテーションとして美しく融合させました。角のないR形状は、訪れる方に心理的な安心感と柔らかい印象を与えると同時に、プライバシーを守る仕切りとしての機能的な役割もしっかりと果たしています。
什器たろうのまとめ
図面上の美しい曲線を現実のものにするためには、素材が元に戻ろうとする反発力と戦う木工技術と、熱を操って正確なカーブを描くアクリル加工技術、その両方の高い精度が求められます。
一見するとシンプルで滑らかなデザインほど、その内部には作り手の執念とも言える見えない苦労が詰まっております。店舗やクリニックに曲線を取り入れた特注什器をご検討の際は、難しい加工も確かな技術で形にするコレカへぜひご相談ください。
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