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特注什器の仕上げ加工講座②|木口処理・エッジ仕上げの種類と特徴をプロが解説

2025.12.12
什器コラム

ようこそ、コレカがお届けする特注什器づくりのための素材講座へ。

このシリーズでは、特注什器製作のオーダーをご検討中のお客様が「なるほど!」と思えるような、素材に関する知識をプロの目線で分かりやすく解説していきます。

木製什器のテーブル天板や棚板などの仕上がりを大きく左右するのが「木口処理(こぐちしょり)」や「エッジ仕上げ」です。
一見目立たない部分ですが、木口の仕上げひとつで、高級感・耐久性・安全性が大きく変わります。

さらに、木口処理とともに角を整える「面取り加工」も、見た目の印象や安全性に関わる重要な工程です。

今回は、特注什器の製作で欠かせない木口処理の種類と、それぞれの特徴・適した用途を解説します。

木口処理とは?

木口(こぐち)とは、板材の切断面のことを指します。

木口は構造的に弱く、未処理のままだと水分を吸収して膨張・変形したり、欠けやすくなったりします。

そのため什器製作では、木口部分を保護・装飾するために「木口処理(エッジ仕上げ)」を施します。
この処理によって、見た目の美しさと強度の両立が可能になります。


主な木口処理(エッジ仕上げ)の種類

木口テープ仕上げ

最も一般的なのが「木口テープ(エッジテープ)」による仕上げです。
PVC(ポリ塩化ビニル)やABSなどの樹脂素材のテープを、手貼りまたは専用のエッジバンダーで圧着します。
 

特徴

  •  コストパフォーマンスが高く量産向き
  •  カラーバリエーションが豊富(木目・単色・メタリックなど)
  •  曲線にも対応しやすい
     

デメリット

  • 経年劣化でテープの端が浮くことがある
  • 高温多湿の環境では剥がれやすい
     

適した特注什器の例

  •  店舗什器や棚板
  •  レジカウンター・展示テーブル
  •  オフィス什器の側板・天板
     

突板(つきいた)貼り

天然木を薄くスライスしたシート状の突板(つきいた)を貼って仕上げる方法です。
木目や色調が自然で、高級感のある什器に適しています。
 

特徴

  •  天然素材ならではの質感と風合い
  •  塗装仕上げとの相性が良い
  •  曲線にも対応しやすい
     

デメリット

  •  コストが高め
  •  手作業が多く納期が長くなりやすい
     

適した特注什器の例

  •  化粧品・インテリアブランドの高級什器
  •  商業施設の常設什器
  •  木質空間に調和する店舗什器

参考サイト:大和ツキ板産業ホームページ

ソフトエッジ加工

木口部分をやわらかく丸める仕上げ方法です。無垢材を使わず、板材の角を削ったり、樹脂テープを巻いたりして仕上げます。
 

特徴

  •  角が丸くなるため、安全性が高い
  •  手触りや見た目がやさしく、親しみやすい印象
  •  板材の軽量感を活かせる

 

デメリット

  •  高級感や重厚感は無垢材に劣る
  •  強い衝撃には無垢材ほどの耐久性はない
     

適した特注什器の例

  •  店舗什器や棚板
  •  レジカウンター・展示テーブル
  •  コスト重視のプロモーション什器
  •  介護施設・幼児施設や、公共施設など手に触れる機会が多い什器
      

参考サイト:パネフリ工業公式オンラインストア

 

塗装仕上げ(木口塗装)

木口部分に直接塗装を施す方法です。
コストを抑えながら、シンプルで統一感のある見た目に仕上がります。
 

特徴

  •  スッキリとした一体感のある仕上がり
  •  小ロット・短納期対応が可能
  •  表面素材と同色でまとめやすい
     

デメリット

  •  傷や欠けに弱く、再塗装が必要になる場合あり
  •  木口の下地が荒いと仕上がりが不均一になる
     

適した特注什器の例

  •  展示会什器・イベント什器
  •  一時設置型のPOP什器
  •  コスト重視のプロモーション什器
     

参考サイト:大和ツキ板産業ホームページ

面取り加工の種類

木口処理とあわせて、角をやわらかく整える「面取り加工」も什器製作ではよく行われます。
角を少し落としたり丸めたりすることで、安全性を高め、見た目にもやさしい印象を与えます。

木材に限らず、スチール、ガラス、アクリルなど多様な素材に用いる加工方法です。

① C面取り

角を斜め45°に削る加工です。

最も一般的な面取りで、面取り=C面という場合が多いです。
怪我防止や組立時の当たりを防ぐ目的で広く使われます。
 

② R面取り(R加工・ラウンド加工)

角を丸く削る加工です。
安全性に優れ、手に触れる部分に多く採用されます。

やわらかく上品な印象を与える仕上がりです。

例えば「R5」と言えば、丸みの半径が5mmの面取りを指します。
 

③ 糸面取り

角をほんのわずか0.1~0.3mmほど削る、ごく小さな面取りです。

見た目にはほとんど角のままですが、触ったときの当たりをやわらげる効果があります。
コストを抑えたい什器にもよく使われます。

また、面取りをしないで鋭く尖った角(R0)形状を、「ピン角」と呼ぶことがあります。

まとめ|木口処理を決めるポイント

  •  什器の使用期間(短期イベント or 長期設置)
  •  空間デザインとの統一感
  •  コスト・納期のバランス
     

木口の仕上げは、見た目の印象だけでなく使い勝手やメンテナンス性にも直結します。

これらを踏まえ、特注什器では設計段階で木口仕上げを明確に指定することが重要です。
素材・仕上げ・環境条件を踏まえて最適な方法を選ぶことで、美観と耐久性を両立した什器に仕上げられます。

仕上げ方法意匠性耐久性コスト感主な用途
木口テープ安価量産什器・棚板
突板貼り◎◎中〜高高級什器・常設什器
ソフトエッジ加工店舗什器・レジカウンター・公共施設什器
塗装仕上げ低〜中仮設什器・短期使用什器

 

最後に

木口処理は、特注什器の完成度を左右する重要な工程です。
見えにくい部分だからこそ、丁寧な仕上げが最終的な品質の差になります。

コレカでは、用途・デザイン・コストに応じて最適な木口仕上げをご提案しています。 

ここでは紹介しきれませんでしたが、他にもさまざまな小口材があります。
木製什器の仕上げでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

 


それでは、また次回。特注什器づくりのための仕上げ加工シリーズでお会いしましょう!


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