
ようこそ、コレカがお届けする特注什器づくりのための仕上げ加工講座へ。
このシリーズでは、特注什器製作のオーダーをご検討中のお客様が「なるほど!」と思えるような、素材に関する知識をプロの目線で分かりやすく解説していきます。
什器製作では、「素材」だけでなく、その表面処理(表面加工)が仕上がりの印象と耐久性を大きく左右します。同じスチールや木材でも、表面処理の方法を変えるだけで、見た目の質感や耐摩耗性、防錆性能まで変化します。
今回は、特注什器でよく用いられる代表的な4つの表面処理・加工方法である、
塗装・粉体塗装・メッキ・電着塗装について特徴と適した什器例を交えて解説します。
目次
塗装仕上げ|自由な色と質感を表現できる最も一般的な表面加工
塗装仕上げは、特注什器の表面加工の中でも最も一般的な方法です。
スプレーガンなどで塗料を吹き付け、素材表面を保護すると同時に美観を高めます。 ここでは塗装仕上げの中でも、什器製作によく使われる代表的な方法を3つ紹介します。
ウレタン塗装
ウレタン樹脂を塗布して仕上げる方法です。
- 特徴:柔軟性と耐久性に優れ、光沢の調整も可能
- メリット:傷や摩擦に強く、美しい仕上がり
- デメリット:乾燥に時間がかかる場合がある
- 適した什器:木製や合板の什器、店内装飾用什器
焼付塗装
スチールやアルミなど金属素材に用いられる塗装方法で、加熱して塗膜を硬化させます。
- 特徴:硬く耐久性の高い塗膜を形成
- メリット:耐摩耗性・耐候性が高く長期間美しさを保てる
- デメリット:加工中の温度管理が重要で、工程がやや複雑
- 適した什器:スチール什器や金属フレーム、オフィス什器
UV塗装
紫外線でインクや塗料を瞬時に硬化させる塗装方法です。
- 特徴:短時間で硬化し、フラットで光沢のある仕上がり
- メリット:速乾性があり、グラデーションや細かい模様も再現可能
- デメリット:塗装可能な素材に制限があり、厚塗りには不向き
- 適した什器:木製・アクリル・樹脂系の什器
✅ デザイン重視の店舗什器や展示会什器では、色表現の幅広さから塗装仕上げが採用されます。
✅ 顔料を含まない無色透明の塗料を使用し、下地の色やデザイン・質感や模様を引き立てながら保護と艶出しを行う「クリア塗装」を施すこともあります。



粉体塗装|高耐久で環境にもやさしい表面処理
粉体塗装(ふんたいとそう)は、粉末状の樹脂を静電気で素材に付着させ、高温で焼き付ける表面処理方法です。
有機溶剤を使わないため環境負荷が少なく、均一で厚い塗膜が得られます。
- メリット:耐久性・防錆性が高く、厚みのある仕上がり。
- デメリット:再塗装や修正が困難、光沢や色味の選択肢がやや限定される
- 適した什器:屋外什器、イベント什器、スチールフレーム什器など
✅ 長期使用や屋外展示を想定した特注什器には、粉体塗装が最も信頼性の高い選択肢です。



メッキ加工|金属の光沢と防錆性を両立する表面加工
メッキは、金属表面に別の金属皮膜を形成する加工で、意匠性と耐久性の両立が可能です。用途に応じて、クロムメッキ・ニッケルメッキ・亜鉛メッキなどの種類があります。
- メリット:高級感のある光沢仕上げ。摩耗・腐食に強い。
- デメリット:コストが高め。部分補修が難しい。指紋や汚れが目立ちやすい。
- 適した什器:高級ブランド什器、アパレル店舗のハンガーラック、装飾金物パーツなど。
✅ 金属の美しい光沢を生かして高級感を演出したい什器において、メッキ仕上げが最も好まれています。



電着塗装|精密でムラのない高密着塗装
電着塗装(でんちゃくとそう)は、電気の力で塗料粒子を金属表面に付着させる技術で、自動車部品などにも採用される高精度な塗装法です。均一な塗膜と高い防錆性が得られるため、スチール家具など、長期使用を前提とした特注什器に適しています。
- メリット:塗装ムラがなく、細部まで均一に塗装できる。
- デメリット:専用設備が必要で小ロットには不向き。色バリエーションが少ない。
- 適した什器:スチール構造什器、厨房什器、倉庫・工場向け什器など
✅ 見えない部分まで高い品質を求める特注什器では、電着塗装が選ばれるケースが増えています。

まとめ|什器の用途と環境に合わせた表面加工を選ぶ
特注什器の表面加工は、「使用環境」「見た目の質感」「コストバランス」の3つの要素で選ぶのが基本です。
| 加工方法 | 耐久性 | 美観性 | コスト | 特徴 | 素材 | 用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 塗装仕上げ | 中 | 高 | 低〜中 | デザイン性が高い一般的な仕上げ | スチール・アルミ・木・アクリル | 店舗什器・オフィス什器 |
| 粉体塗装 | 高 | 中 | 中 | 高耐久・屋外向け | スチール・アルミ | 屋外什器・量産什器 |
| メッキ | 高 | 高 | 高 | 高級感と防錆性の両立 | スチール | 展示什器・高級店舗什器 |
| 電着塗装 | 高 | 中 | 中 | 均一・精密な防錆塗装 | スチール | 構造部・厨房什器 |
特注什器の設計段階から、どの表面処理を採用するかを検討することで、仕上がりの美しさとメンテナンス性を両立できます。
什器製作のコレカでは、用途・設置環境・デザインコンセプトを丁寧にヒアリングし、最適な表面加工方法をご提案しています。
特注什器は「構造」だけでなく、「表面の仕上がり」がブランドイメージを決定づけます。
ぜひ、表面加工までこだわった什器製作をご検討ください。

それでは、また次回。特注什器づくりのための仕上げ加工講座シリーズでお会いしましょう!
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