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特注什器の素材講座⑤|合板・MDF・パーティクルボードの特徴と違いをプロが解説

2025.11.14
什器コラム

ようこそ、コレカがお届けする特注什器づくりのための素材講座へ。

このシリーズでは、特注什器製作のオーダーをご検討中のお客様が「なるほど!」と思えるような、素材に関する知識をプロの目線で分かりやすく解説していきます。

今回のテーマは、木質基材(芯材)です。

家具や什器の土台となる「基材」として代表的なのが、合板・パーティクルボード・MDFの3種類です。これらは、無垢の木材が持つ反りや歪みといった弱点を克服し、安定した品質と加工のしやすさを実現した工業製品です。

多くの場合、これらの基材の表面に美しい木目柄のシートや薄い板を貼り付けた化粧板として使用されます。

今回は、それぞれの木質基材が持つ特徴や違いを詳しく見ていきましょう。

合板(ごうはん)- Plywood

合板は、木材を大根のかつらむきのように薄くスライスした単板(ベニヤ)を、木目が交互に直交するように奇数枚重ねて接着剤で圧着した板です。英語ではプライウッド(Plywood)と呼ばれます。

木目が交差しているため、どの方向からの力にも強く、天然木に比べて反りや伸縮が少ないのが大きな特徴です。

種類
  • 普通合板: 特定の用途が定められていない合板で、什器や家具の製作に最も広く利用されます。表面に使われる木材の種類によってシナ合板ラワン合板などと呼ばれます。
  • 構造用合板: 建築物の壁や床、屋根など、構造上の強度が必要な部分に使われる合板です。近年では、その無骨な風合いを活かして店舗の内装や什器にそのまま使われることも増えています。
  • コンクリート型枠用合板(コンパネ): コンクリートを流し込む型枠として使われる耐水性・耐久性の高い合板。什器製作にはあまり向きません。
規格・サイズ

合板はJAS(日本農林規格)によって、用途や品質が細かく定められています。

日本では古くからの「尺」が基準となっており、以下のサイズが主流です。

  • サブロク(3×6尺:約910×1,820mm)
  • シハチ(4×8尺:約1,220×2,430mm)

什器製作では、3mm、6mm、9mm、12mmといった厚みがよく使われます。

特徴と用途
  • メリット: 優れた強度、反りや歪みが少ない、加工しやすい、天然木に比べ安価。
  • デメリット: 水分に長時間さらされると接着層が剥がれる可能性がある。
  • 主な用途: 家具・什器全般、化粧板の基材、建築物の下地材。
品質基準

シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの放散量に応じて等級が定められており、室内で使う什器には最も安全性の高いF☆☆☆☆(フォースター)等級の製品を使用するのが現在の常識です。


パーティクルボード- Particleboard

パーティクルボードは、木材を細かく砕いたチップ(パーティクル=小片)を接着剤で固め、熱を加えて圧縮成形した板です。英名ではチップボード(Chipboard)とも呼ばれます。

断面を見ると、中央部分は粗いチップ、表面に近づくにつれて細かいチップが使われているのがわかります。この多層構造により、軽さと強度を両立させています。

建築廃材や未利用木材などをリサイクルして作られるため、環境に優しく、非常に安価なのが最大のメリットです。

規格・サイズ

JIS(日本産業規格)で品質が定められており、ホルムアルデヒド放散等級は合板と同じくF☆☆☆☆(フォースター)が基本となります。
サイズは多様ですが、やはりサブロクやシハチサイズが多く流通しています。

特徴と用途
  • メリット: 非常に安価、資源のリサイクル性が高い、寸法安定性が良い、加工しやすい。
  • デメリット: 水や湿気に非常に弱い、ネジの保持力が合板に劣る、重い。
  • 主な用途: 大量生産される組み立て家具(カラーボックスなど)、化粧板の基材、住宅の床や壁の下地材。


OSBボードについて

パーティクルボードの仲間で、木材のチップをより大きく削り、意図的に方向を揃えて(配向性)圧縮したものをOSB(Oriented Strand Board)と呼びます。
独特の模様がデザインとして人気を呼び、店舗の壁や什器の仕上げ材としてそのまま使われることが多くあります。


MDF(エムディーエフ)- Medium Density Fiberboard

MDFは、Medium Density Fiberboard(中質繊維板)の略。

木材チップをさらに細かく繊維のレベルまで分解し、接着剤と混ぜて圧縮成形した板です。

パーティクルボードが「チップの集合体」なら、MDFは「木の繊維の集合体」と言えます。
原料が非常に細かいため、密度が均一で、表面が硬く滑らかなのが最大の特徴です。


規格

パーティクルボードと同様にJISで規格が定められており、安全基準としてF☆☆☆☆が広く採用されています。

特徴と用途
  • メリット: 表面が非常に滑らかで塗装仕上げに適している、精密な加工(彫刻や曲面加工)が可能、寸法安定性が高い、安価。
  • デメリット: 水や湿気に弱い、重い、衝撃に弱い。
  • 主な用途: システムキッチンの扉、スピーカーの筐体(キャビネット)、住宅の造作材(巾木や廻り縁など)、化粧板の基材。


まとめ:木質基材3種の比較

それぞれの素材には得意なこと、苦手なことがあります。
用途やコスト、求めるデザインに応じて最適なものを選ぶことが重要です。

項目合板 (Plywood)パーティクルボード (Particleboard)MDF (Medium Density Fiberboard)
構造単板を木目が直交するように積層木材チップを圧縮成形木材繊維を圧縮成形
強度◎(特にネジ保持力に優れる)△(ネジ保持力は弱い)〇(均一だが衝撃に弱い)
耐水性〇(接着剤による)×(水を含むと大きく膨らむ)×(水を含むと膨らむ)
表面△(木目や節がある)△(チップの凹凸がある)◎(硬く非常に滑らか)
加工性◎(塗装や彫刻に最適)
重量軽い重い重い
価格△(比較的高価)◎(非常に安価)〇(安価)
適した用途強度が必要な什器の骨組みローコストな家具の芯材塗装仕上げの扉、曲面加工

最後に

いかがでしたでしょうか。一口に「木質基材」と言っても、その特性は様々です。
戦後の木材需要の高まりと共に技術が発展したこれらの合板や木質ボードは、天然資源を有効活用し、安定した品質の製品を供給するために不可欠な素材となっています。
什器づくりにおいて、これらの素材の特性を理解することは、理想の空間を形作るための第一歩です。

私たちコレカ株式会社は、長年の経験で培った素材の知識を活かし、お客様一人ひとりのご要望に最適なご提案をいたします。
「こんなイメージの什器は作れる?」「この予算でどこまでできる?」 素材選びの段階から、ぜひお気軽にご相談ください。専門のスタッフが、丁寧にお客様の什器づくりをサポートいたします。

それでは、また次回、特注什器づくりのための素材講座シリーズでお会いしましょう!


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