
ようこそ、コレカがお届けする特注什器づくりのための素材講座へ。
このシリーズでは、特注什器製作のオーダーをご検討中のお客様が「なるほど!」と思えるような、素材に関する知識をプロの目線で分かりやすく解説していきます。
今回のテーマは、什器の見た目と機能性を決める重要な素材の一つ、「化粧板(けしょうばん・けいしょういた)」です。「どんな素材を選べば、イメージ通りの雰囲気になるんだろう?」「耐久性やコストも気になる…」そんな疑問にお答えします。
そもそも「化粧板」とは??
化粧板とは、什器の骨格となる「基材(きざい)」(MDFやパーティクルボード、合板など)の表面に、デザイン性や機能性を持つシートや薄い木材を貼り合わせた板材料のことです。家具の仕様で目にする「背面化粧仕上げ」という言葉は、「背面にもきちんと化粧板を使用しています」という意味になります。
化粧板は言わば、什器の「顔」となる部分。 無垢の木材をそのまま使うよりもコストを抑えつつ、木目、石目、金属調、単色カラーなど、無限とも言えるデザインバリエーションを実現できます。さらに、表面に貼る素材次第で、傷や汚れへの耐性、防水性といった機能を付加できるのも大きなメリットです。
私たちコレカの製作現場でも、この化粧板を巧みに使い分けることで、お客様のブランドイメージやご要望をカタチにしています。

まずは押さえたい!代表的な化粧板の種類と特徴
数ある化粧板の中から、特にオーダー什器で多用される代表的なものを4種類ピックアップしてご紹介します。
それぞれの「得意なこと」を知ることが、最適な素材選びの第一歩です。
1 メラミン化粧板
― 耐久性の王様
什器の表面材として、最も高い信頼性と使用実績を誇るのがメラミン化粧板です。
- どんな素材?
デザインを印刷した紙にメラミン樹脂を染み込ませて何層にも重ね、高温・高圧でプレスした非常に硬いシート状の素材です。これを基材に貼り付けて使用します。 - 特徴
圧倒的な表面硬度が魅力。傷、熱、水分、汚れのすべてに強く、日常的な使用環境で非常に優れた耐久性を発揮します。デザインやカラーのバリエーションも極めて豊富です。 - 最適な用途
不特定多数の人が触れる場所に最適です。
(例:店舗のレジカウンター、飲食店のテーブル天板、ホテルの受付カウンターなど)



2 ポリエステル化粧合板(ポリ合板)
― コストと品質の優等生
- どんな素材?
メラミン化粧板と並び、什器製作で広く使われる素材です。
基材となる合板に化粧紙を貼り、その上からポリエステル樹脂を塗布して硬化させたものです。 - 特徴
メラミン化粧板には一歩譲るものの、十分な表面硬度と耐汚染性を備えています。何よりコストパフォーマンスに優れており、幅広い用途に採用しやすいのが魅力です。 - 最適な用途
人の手が頻繁に触れない垂直面や、キャビネットの内部などでメラミンと使い分けることで、コストを最適化できます。
(例:キャビネットの扉・側板、棚板、什器の内部など)


🔎 プロの視点 ~メラミンとポリの賢い使い分け~
例えば一台のカウンター什器を作る際、お客様が最も触れる天板には高耐久な「メラミン化粧板」を、傷がつきにくい側面や内部にはコストを抑えた「ポリ合板」を、というように適材適所で使い分けるのがプロのテクニックです。現場でこれを「ポリ・メラ仕上げ」と言います。これにより、品質を落とさずにコストを最適化することが可能になります。


3 突板(つきいた)化粧板
― 天然木の温もりを纏う
- どんな素材?
本物の木が持つ、温かみや高級感を表現したい場合に最適な化粧板です。
美しい木目を持つ天然木を0.2mm〜0.6mmほどに薄くスライスした「突板」を、基材に貼り付けたものです。 - 特徴
天然木そのものの質感、風合い、木目をそのまま楽しめます。無垢材に比べて反りや割れが少なく、安定した品質で供給できるのがメリット。塗装仕上げによって、さらに表情を豊かにすることも可能です。 - 最適な用途
高級感や本物志向の空間演出に欠かせません。
(例:アパレルブランドのディスプレイ什器、役員室の家具、ホテルの内装など)
🔎 プロの視点 ~木目の表情を選ぶ~
突板の魅力は、その木目の表情にあります。丸太を切り出す向きによって模様が異なり、それぞれが全く違う印象を与えます。代表的な木目は以下の3種類です。
1. 板目(いため): 山形や筍(たけのこ)のような、木材らしいダイナミックで表情豊かな木目です。
2. 柾目(まさめ): 年輪が平行な直線状に現れる、すっきりと落ち着いた上品な木目です。
3. 杢目(もくめ): 稀に現れる、鳥眼杢(バーズアイ)や縮杢(カーリー)など、複雑で装飾性の高い希少な木目です。
どのような木目を選ぶかによって、什器の雰囲気は大きく変わります。空間全体のデザインコンセプトに合わせて選定することが重要です。


4 化粧フィルム(タックシート)
― デザインの可能性を広げる万能シート
- どんな素材?
ダイノックシート™(3M社)、リアテック(サンゲツ社)、ベルビアン(タキロンシーアイ社)といった商品名で知られる、裏面に接着剤がついたシート状の化粧材です。
塩化ビニル樹脂などを主原料とし、木目や石目、金属などの質感をリアルに再現した印刷フィルムです。 - 特徴
柔軟性が高く、曲面や複雑な形状にも美しく貼り付けることができます。また、既存の什器や壁の上から貼ることで、空間を手軽にリニューアルできるのも大きな強みです。 - 最適な用途
現場での施工やリノベーション、デザイン性の高い曲面什器に。
(例:円形カウンター、柱の装飾、エレベーターの扉、古くなった什器の再生など)


まとめ:最適な素材選びが、理想の什器づくりの鍵
今回は、数ある化粧板の中から代表的な4種類をご紹介しました。
それぞれの素材には個性があり、得意なこと、苦手なことがあります。作りたい什器の用途、設置場所、デザイン、そしてご予算。これらの条件を総合的に判断し、最適な素材を選ぶことが、お客様の満足に繋がる什器づくりの鍵となります。
🔎 耐久性重視なら ・・・ メラミン化粧板
🔎 コストと品質のバランスなら・・・ ポリエステル化粧合板
🔎 天然木の高級感なら ・・・ 突板(つきいた)化粧板
🔎 曲面やリフォームなら・・・ 化粧フィルム(タックシート)
私たちコレカ株式会社は、長年の経験で培った素材の知識を活かし、お客様一人ひとりのご要望に最適なご提案をいたします。 「こんなイメージの什器は作れる?」「この予算でどこまでできる?」 素材選びの段階から、ぜひお気軽にご相談ください。専門のスタッフが、丁寧にお客様の什器づくりをサポートいたします。

それでは、また次回。特注什器づくりのための素材講座シリーズでお会いしましょう。
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