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【プロが解説】什器・家具でよく使う金属(スチール、ステンレス、アルミ)の違いとは?

2025.09.01
什器コラム

店舗のディスプレイやオフィスの家具など、様々な場所で活躍する什器。その強度やデザイン性を支えているのが「素材」です。中でも、金属は什器製作に欠かせない重要な素材ですが、一口に金属と言ってもその種類は多岐にわたります。

今回は、特に什器や家具に最も多く使用される「スチール」そして私たちの生活に身近な「ステンレス」「アルミニウム」の3つの金属に焦点を当て、それぞれの特徴や違い、適切な選び方について、什器製作のプロであるコレカ株式会社が分かりやすく解説します。

スチール(鋼)とは?

スチール(steel)とは、日本語で「鋼(はがね)」を指し、鉄を主成分として炭素を0.02~2.14%加えた合金です。炭素の含有量が多いほど、素材としての硬度が増します。


スチール製の家具や什器は、原料である鉄鉱石の塊を「圧延(あつえん)」というロールで押し伸ばす加工法で作られた、板材、棒材、鋼管などを材料として製品へと加工されていきます。

〇長所
曲げやねじりに対する剛性が高く、木材などに比べて寸法の狂いが少ない優れた加工性を持っています。何より、価格が最も安価な点が大きなメリットです。

✖短所
ステンレスやアルミに比べて酸化しやすく、錆びやすいという弱点があります。また、アルミの約3倍の重さ(比重:アルミ2.7に対し鋼7.85)があるため、軽量性が求められる製品には不向きな場合があります。

スチールは、豊富な資源量、高い剛性と加工性、そしてコストパフォーマンスの高さから、建築物、インフラ、自動車、産業機械など、社会を支える基礎素材として幅広く利用されています。

什器や家具の素材として利用する際は、サビや傷を防ぐために塗装やメッキによる表面処理を施したり、化粧シートを貼って仕上げるのが一般的です。スチールラックやロッカーなどがその代表例です。

  • 日本製鉄株:日本で最大手、世界でもトップクラスの鉄鋼メーカー(新日本製鉄と住友金属が2012年に合併)
  • JFEスチール:国内トップクラスの鉄鋼総合メーカー。(川崎製鉄と日本鋼管が2002年に合併)
  • 神戸製鋼所:国内トップクラスの鉄鋼・非鉄金属メーカー。

ステンレス(ステンレス鋼)とは?

ステンレス(stainless steel)は、その名の通り「stain(汚れ)+ less(ない)」、つまり「錆びにくい鋼」として開発された素材です。

鉄を主成分にクロムやニッケルを加えた合金で、クロムが10.5%以上含まれることで、空気中の酸素と結合して表面に「不動態被膜」という非常に薄い保護膜を形成します。この膜が錆の発生を防ぎます。 業界では「ステン」や、JIS規格表記(SUS)から「サス」と呼ばれることもあります。

〇長所
優れた耐食性(錆びにくさ)が最大の特徴です。表面が傷ついても、周囲の酸素と結合して不動態被膜が自己修復するため、簡単なお手入れで半永久的に美しい輝きを保ちます。耐熱性も高く、熱による変形がしにくいのも強みです。

✖短所
スチールと比較して高価になります。重さはスチールとほぼ同じで、アルミの約3倍(比重:7.93)です。


ステンレスは含有される金属の種類と量で特性が変わり、最も一般的なのは「SUS304」(クロム18%、ニッケル8%)です。「18-8 ステンレス」などと製品表記されます。
「SUS430」は、光沢や耐食性にやや劣りますが、希少なニッケルを含まず安価です。こちらは磁石がつくという特徴があります。

その優れた耐食性、加工性、耐熱性、そして美しい外観から、キッチンのシンクや厨房機器、食器といった身近なものから、建築材料、医療機器、航空機部品まで幅広く利用されています。

表面の仕上げ方によっても表情が変わり、鏡のようにピカピカに磨き上げる「鏡面仕上げ」、髪の毛のような細長く連続した研磨目をつける「ヘアライン仕上げ」、ンダムに振動模様をつける「バイブレーション仕上げ」など、意匠性を高め、高級感・落ち着いた印象をつくることも可能です。

  • 日本製鉄:日本で最大手、世界でもトップクラスの鉄鋼メーカー
  • JFEスチール:トップクラスの鉄鋼総合メーカー。ステンレス鋼管で国内トップ
  • 日鉄ステンレス:日本最大の総合ステンレスメーカー
  • 日本冶金工業:日本トップクラスのステンレスメーカー
  • 日本精線:ステンレス鋼線の二次加工メーカー。ステンレス鋼線部門で国内トップ

アルミニウムとは?

アルミニウムは、ボーキサイトという鉱石を原料として精錬される金属です。スチールやステンレスが鉄を主成分とする「鉄鋼材料」であるのに対し、アルミニウムは「非鉄金属」に分類されます。

圧延、押出、鍛造、鋳造など様々な方法で加工され、多種多様な製品に成形されます。

〇長所
最大の特徴は「軽さ」です。比重は2.7と、スチールやステンレスの約3分の1です。軽量ながらも十分な強度を持ち、重量あたりの強度(比強度)は高い素材と言えます。また、表面に「アルマイト皮膜」処理を施すことで、耐食性や放熱性を高めることができます。

✖短所
軽量な分、凹みやすく傷つきやすい側面があります。また、融点が660℃と低い(鉄は1538℃)ため、加工やリサイクルが容易である一方、熱による変形には注意が必要です。

その軽さを活かして、建設資材や、軽量化が求められる自動車、航空機、鉄道車両などの輸送分野で広く使われています。

 什器製作のコレカではアルミ素材を扱うことは少ないですが、身近な製品では、アルミサッシやアルミ鍋、飲料缶、タイヤホイールなどが代表的です。熱伝導率の高さも飲料缶などに適している理由の一つです。

  • UACJ:アルミニウム板材の国内トップメーカー
  • 日本軽金属HD:アルミニウム板材で国内トップクラス
  • 神戸製鋼所:アルミ板事業において国内トップクラス
  • アルミネ:アルミ線材(ワイヤー材)の国内トップメーカー

まとめ:スチール・ステンレス・アルミの違い


それぞれの金属の特徴をまとめると、以下のようになります。用途や求める性能に応じて最適な素材を選ぶことが重要です。

特徴スチール(鋼)ステンレスアルミニウム
価格◎ 安い△ 高い○ 中間
重さ△ 重い△ 重い◎ 軽い
錆びにくさ✖ 錆びやすい(要防錆加工)◎ 錆びにくい○ 錆びにくい
強度◎ 高い◎ 高い△ やや低い(傷つきやすい)
加工性◎ 高い〇 高い◎ 高い
○ 強い◎ 強い✖ 弱い(変形しやすい)
原料鉄を主原料として炭素を加えた合金鉄を主原料としてクロムやニッケルを加えた合金ボーキサイトという鉱石を原料として精錬される非鉄金属
主な用途汎用什器、ロッカー、デスク脚部、構造材厨房機器、水回り、意匠性の高い什器、看板軽量什器、建具(サッシ)、輸送機器、缶

最後に

今回は、什器製作で重要な役割を担う金属素材「スチール」「ステンレス」「アルミニウム」について解説しました。それぞれの素材の特性を理解し、用途やデザイン、ご予算に合わせて最適なものを選ぶことが、質の高い什器作りへの第一歩です。

私たちコレカ株式会社では、素材の選定から設計、製作まで、お客様のご要望に合わせた最適なオリジナル什器をご提案いたします。店舗什器や特注家具の製作に関するご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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