
「什器(じゅうき)」という言葉、聞いたことはありますか?
実は「じゅうき」と漢字変換すると、「重機」や「銃器」、「住基」が先に出てくることが多く、什器という言葉は、一般的にはまだ少しマイナーかもしれません。
けれど、飲食店やアパレルショップ、オフィスや展示会など、あらゆる空間の中で、什器は密かにその存在感を発揮しています。
今回は、特注什器の製作を専門とするコレカ株式会社の視点で、「什器ってそもそも何?」というところから、具体的な種類、使い方、製作に込める想いまで、じっくりご紹介します。
「什器」とは?まずは辞書から
辞書で調べてみると、以下の定義が出てきます。
- 「日常使用する家具・道具・器物の類。什物(じゅうもつ)。什具。」(大辞林)
- 「什」は「十人」=おおぜいで共用する意(広辞苑)

なんとなくイメージはできますが、ちょっと曖昧な印象もありますよね。
では、実際に現場で「什器」と呼ばれているものには、どのようなものがあるのでしょうか?
「什器」の具体例
物販店(雑貨・食品・アパレルなど)の什器
商品陳列棚、ショーケース、平台、ワゴン、ストック棚、ゴンドラ、レジカウンター、サッカー台、間仕切り、試着室、マネキン、トルソー、ハンガーラック、ミラー、POPスタンドなど

飲食店の什器
レジ台、カウンター、テーブル、イス、ソファ、ベンチ、メニューボード、食器棚、冷蔵ケース、厨房機器、照明ボックス、イーゼル、サインスタンドなど

オフィスの什器
デスク&チェア、会議テーブル、椅子、受付台、ソファー、書棚、パーテーション、案内板、キャビネットなど

このように、什器とは「空間の中で、機能的・視覚的な役割を果たす備品や設備」のこと。
お店や職場にある什器は、大型家具のような存在から、ちょっとしたサインスタンドまで多岐にわたります
「店舗什器」の種類と特徴
私たちが主に取り扱う、店舗運営に使用される「店舗什器」は、目的や形状、素材などによって、さらに細かく分類されます。
目的ごと
- 陳列什器:商品を整然と並べて見せるための台や棚
- 展示什器:商品や作品を魅力的に見せるための台やケース
- ディスプレイ什器:商品を「見せる」「飾る」ための台やケース
- 販促什器:ディスプレイ什器の中でも、特に商品の「販売促進」を直接的な目的とする
- プロモーション什器:販促什器とほぼ同義ですが、新商品や季節限定品など、特定のキャンペーン(プロモーション)で使われる


設置場所ごと
- 壁面什器:壁際に設置される棚や陳列台。空間を有効活用し、店舗の基本となる商品陳列に使用される
- 中島什器:店舗の中央に島のように設置される什器。客が回遊しやすく、定番商品や日用品の陳列によく使われる
- エンド什器:主通路の突き当りや、中島什器の端に配置される什器。新商品や特売品など、特に目立たせたい商品の陳列に利用される
- 柱巻き什器:店内の柱の周りを囲む什器。デッドスペースを有効活用し、商品やプロモーションをアピールする
- 店頭什器:店の入口やレジ前など、特に人目に付く場所に置かれる什器。来店客の購買意欲を刺激するのに効果的
- 卓上什器:カウンターやテーブルの上に置かれる小型の什器。パンフレットや小物など、細かく見せたい物の陳列に向いている

素材ごと
- 木製什器:木材の温かみや高級感を活かした、耐久性の高い棚や陳列台
- スチール什器:鉄製で、重い商品にも耐えられる頑丈さとシンプルなデザインが特徴
- アクリル什器:透明で商品を引き立てる、軽量で加工がしやすいショーケースやディスプレイ
- 紙什器:段ボールや厚紙で作られ、軽量で安価。一時的なプロモーションやイベントに適している
- プラダン什器:プラスチック製段ボールを使用。軽量で水に強く、屋外イベントや短期的な使用に適している


陳列商品ごと
- アクセサリー什器:アクセサリーの繊細さや魅力を引き立てる、小型で装飾的な什器
- アパレル什器:ハンガーラックや陳列棚など、衣類を効果的に見せて手に取ってもらうための什器
- 化粧品什器:美しく商品を陳列し、テスターなどを配置することで使用感をアピールする什器
- 惣菜什器:衛生的に惣菜を陳列し、保温や保冷機能を持つことで鮮度を保つための什器
- サイネージ什器:映像やデジタル広告で情報発信する液晶ディスプレイなどの筐体


形状ごと
- ひな壇什器:階段のように段差をつけた什器。奥の商品もよく見え、商品全体にボリューム感を出せるのが特徴
- 回転什器:台座が回転する什器。限られたスペースで多種類の商品を見せることができ、回遊性を高める
- 内照式什器:什器内部に照明を内蔵。商品を美しくライトアップし、高級感や特別感を演出する
- 平台什器:背の低い平らな台の什器。セール品や催事品など、注目させたい商品の大量陳列に適している
- ノックダウン什器:組み立て式で、ばらばらの状態で運搬・保管が可能。輸送費や保管スペースを抑えられる
- システム什器:棚板、支柱、パネルなどのパーツを、スペースや陳列商品に合わせて自由に組み合わせる什器
- ゴンドラ什器:スーパーや店舗で商品を陳列するために使われるスチール製のシステム什器


製作方法ごと
- 特注什器、オーダーメイド什器:特定の場所や用途に合わせ、ゼロからデザインや素材を選び、こだわって作り上げる什器(少量 1台~)
- オリジナル什器:自社で企画・デザインした、独自の什器。ブランドイメージやコンセプトを強く反映できる(中~大量ロット)
- OEM什器:他社(什器メーカーなど)が設計・製造した什器を、自社のブランド名で販売・使用するもの。コストを抑え、すばやい製品化に向く(大量生産)

これらは一例に過ぎませんが、「商品をどう見せたいか」「どんな空間を演出したいか」によって、什器の在り方は大きく変わってくるのです。
什器は、売場の「名脇役」
什器とは、商品を「置く」「並べる」「見せる」ための備品や設備のことを指します。
お店を訪れるお客様の多くは、什器の存在を意識することはありません。
でも、什器があるからこそ商品が美しく並び、空間全体の印象が整い、買い物の導線やスタッフの働きやすさまでスムーズになります。
什器は、言うなれば店舗の名脇役。
商品やブランドの魅力を“そっと引き立てる”存在なのです。

製作の際に大切にしていること
コレカでは、単に什器を「形にする」だけではなく、その先にある目的まで見据えてご提案・製作を行っています。
- 顧客目線の配慮
・高さや色味、素材をターゲット層(性別・年齢層など)に合わせて調整
・角の面取りや欄干の設置、落下・転倒防止など安全性への配慮
・商品の見やすさ・手に取りやすさを意識した設計
- 店舗スタッフ目線の配慮
・ストッカー付き、キャスター付きで作業性向上
・商品に合わせて棚の高さを調整可能
・ショーケースに鍵、レジまわりの目隠しなど防犯性にも配慮
什器は「買う人」「売る人」どちらにとっても使いやすく、安心できるものであるべき。
だからこそ、細やかなヒアリングと現場目線のものづくりが欠かせないと考えています。

最後に|什器製作に込める想い
什器をつくること自体がゴールではありません。
本当に目指すべきなのは、その什器を通じて、
「売上を伸ばしたい」「空間の質を高めたい」「ブランドの世界観を表現したい」といった課題や目的を達成すること。
私たちは、お客様の想いやこだわりを丁寧に受け止め、
“こだわりのモノづくり”を通して「空間の価値」を形にする什器を一緒に作っていきたいと考えています。

▷ 店舗什器の具体事例は、製作実績ページをご覧ください。