Φ600(直径600mm)の円柱の特注ディスプレイショーケースを製作しました。
円柱のアクリルカバーはもちろん取り外して、中の物を交換することができます。
ショーケースはオフィスのエントランスに設置しました。

Φ600アクリルパイプを選んだ理由
今回使用したアクリル円柱パイプは、Φ600×高さ約1000mm、板厚5mmの定尺品です。
アクリル専門の問屋から必要寸法でカットして仕入れました。
上部のフタ部分は、型取りしたアクリル板をカットし接着して仕上げています。
もし円柱型のパイプを完全特注で製作するとなると、木型の製作から始める必要があり非常に高額になってしまいます。
そのため、既製品を活用しつつ必要な加工だけを加える方法を採用しました。
大口径のアクリルパイプはコストはかかりますが存在感は抜群です。
オフィスエントランスのアクセントとして印象的な空間を演出します。
アクリルパイプの固定方法と見栄えの配慮
アクリル円柱はメラミン製の木工土台にはめ込み、ズレを防ぐために一回り小さい天板を重ねる構造にしました。
「溝をつけてはめ込む」方法もありますが、溝の内側が素地のままになるため、アクリル越しに見えた際の見た目を重視してこの方法を採用。
また、アクリルパイプは製造やカットの工程でわずかに歪むことがあります。
そのため、溝はめ込み式だとクリアランスを大きく取る必要があり、見た目や精度が下がる可能性がありました。
この仕様はデザイン性・施工性の両方の面でもベストな方法でした。
曲げベニヤを使った円柱型の木工土台の製作
木工の円柱型の土台は、曲げベニヤを使用して製作しました。
曲げベニヤとは、その名の通りカーブやR形状に曲げることができる特殊なベニヤ板です。
通常のベニヤ板が繊維方向を交互に重ねて作られているのに対し、曲げベニヤは単板を同一方向に積層しており繊維方向に沿って滑らかに曲げることができます。
円形にカットした板2枚と芯材を使って組んでいきます。

組んだ下地にぐるっと曲げベニヤを巻き付けるように貼っていきます。
曲げベニヤには3mm、5mm、12mmと厚みがあり、什器の形状やサイズなどで使い分けたり複数枚貼ったりと調整をします。
さらに曲げベニヤの上からメラミン化粧板を貼って仕上げます。
メラミン化粧板は薄く、ある程度の大きさのR形状でも問題なく貼ることができますが、Rが小さすぎると剥がれやすくなるため注意が必要です。
今回はΦ600・高さ1200mm以下のサイズだったため、継ぎ目なしでぐるりと一周貼ることができました。
場合によっては、ジョイントを入れて貼り合わせることもあります。
まとめ:空間に映える円柱型ショーケース
今回製作したΦ600のアクリル円柱ショーケースは、木工とアクリルの加工技術の合わせ技で、特注ならではのディスプレイ什器でした。
円柱形状のショーケースは珍しく、よくある四角い形とは異なり空間のシンボルとしても印象に残る一台です。
どんなアイテムがディスプレイされるのか、完成設置後が楽しみです。
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