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コストバランスの良いサイズに調整。美容家電展示台を製作した話

2025.10.15
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ポップアップショップやイベントで使用する展示台を製作したいとお問い合わせを頂きました。
形のイメージとサイズ感を元にお見積もりをしたのですが、ご予算をオーバーとのこと。
コストを抑えるのにはどうすればいいのかご相談を受けました。


化粧板のサイズと什器のサイズのバランス

コストを抑える余地・・・ありました。
それはサイズを変更すること。

元々のご依頼では、

W1000×D500×H800

にしたいとのこと。
お話をお伺いしたところ、特にこだわりはわくキリの良い寸法のほうがいいのかと思ってとのことでした。

このサイズを一回り小さくすれば、使用する仕上げ材のコストがグッと抑えられることに。
というのも什器を作るのに使用する材料である、メラミン化粧板やポリ合板、ベニヤ板などは「尺」を基準とした規格サイズで作られているからです。
尺寸=303mm
普段の生活はメートル法が基準になっているので、つい1mぐらいのサイズでと指定しがちですが、建築や家具などでは尺寸法が採用されています。

サブロクと呼ばれている、3×6サイズは横910mm×高さ1820mm
シハチと呼ばれている、4×8サイズは横1230mm×高さ2450mm

この2サイズとなっているためです。
W1000×D500×H800だと、シハチサイズの化粧板がベースになります。


確認したところ、このサイズ感にこだわりはないとのことなので、大幅に変わらなければ変更OKとのこと。

W900×D450×H800

このサイズだとサブロクサイズの化粧板を無駄なく使うことができます。
サブロク板はシハチ版に比べると4割ぐらい安いので材料代を抑えることができます。



1台と複数台では1台当たりの単価が変わる

お問い合わせの時には、台数などの記載がなかったのでいったんは1台でのお見積もりとさせていただきました。
詳しくお話をお伺いしたところ、4台にするか6台にするか悩んでいるとのことでした。
1台作るのと、複数台作るのでは1台当たりの製作コストが変わってきます。
4台と6台では単価は変わらないのですが。

そのあたりも踏まえて再度お見積もりをしたところ、ご予算内に収まりそうとのこと。
同じものを6台製作させていただくことになりました。


材料の使い分け

什器を製作する際の表面の木目材は、メラミン化粧板とポリ合板を使用することが多いです。
メラミン化粧板は、メラミン樹脂を染み込ませて高温高圧でギュッと固めた薄い板材でもはや木材ではありません。
表面はとても硬く、ツルッとした質感が特徴です。
キズや汚れがつきにくく、かつアルコールなどの薬品で拭いても問題なし。
熱にも強いのでカウンターやテーブルの天板など、見た目と耐久性が求められる部分によく使われます。

今回の展示台では天板のTOPと脚の外側の部分に使用します。

ポリ合板は、合板の表面に薄いポリエステル樹脂のシートを貼ったものです。
見た目はメラミン化粧板とほとんど変わらないのですが、基材は木です。そこにコーティングされているとはいえシートを貼っているだけなのでキズには弱いです。
汚れがついたとき、薬品などで拭くとシミがついてしまうことも。

ただその分、メラミン化粧板と比べるとコストが4割ほど安いのが魅力的です。
厚みが2.5mm(3×6板の場合)か4mm(4×8板)の合板になっているので、下貼りの必要もありません。
メラミン化粧板は厚みが約1mmと薄いため、合板の下貼りをして芯材に貼りつける必要があります。
合板が別途必要になるので、その点でもメラミン化粧板で仕上がると値段が上がるのです。

脚の内側や裏側などあまり触れることのない部分はポリ合板を使います。
棚板が微妙なところだったのですが、カタログやタブレットを置く程度とのことだったのでここもポリ合板にしました。

気をつけたいのは、メラミン化粧板とポリ合板の色柄はすべて連動していない点です。
メラミン化粧板のほうが種類が多く、ポリ合板がない場合もあります。
その点に注意してもらいながら、カタログから木目を選んでもらいました。


配線孔キャップどうする?

シンプルな作りですが、配線が綺麗に収まるような工夫をしています。
配線を通す際によく、配線孔キャップを使うことがあります。

配線孔キャップには、形も大きさも様々なものがあります。
ただ、カラーラインナップがあまりないので、配線孔キャップを付けると悪目立ちしてしまうこともあります。
フタが取り外せるタイプの物は、搬入出の際に外れて紛失してしまうこともしばしば。

今回はぴったり合う色もなくコストも抑えたいというご要望もあったので、NCルーターで天板にスリット穴を開けて通すことが出来るようにしました。
配線は床にそのまま落とすのではなく、什器の背面の奥に受け皿を作りそこに電源タップを置いて集約させることにしました。
什器の背面を利用することで、カタログが奥に入りすぎて取りづらくなるのも防ぎます。

裏側は化粧板仕上げをせずに合板が見えるままにするケースもあるのですが、臨機応変に対応できるように今回はポリ合板で仕上げました。
コストばかりを優先せず、使い勝手を優先することも大切です。

ポップアップショップのため設置場所のコンセントがどこにあるかが分かりません。
そのため、現場で臨機応変に対応が出来るように配線を通す穴を目立たないところにいくつか開けました。




まとめ

シンプルな形の展示台でしたが、使い勝手や見栄えなどにこだわりながら、妥協できるところこだわるところを丁寧にヒアリングしながら完成した什器でした。

コストを抑えるコツ
・什器のサイズの変えたくない部分と変えてもいい部分を決めておく、ロスの少ないサイズに調整する
・1台作るよりも複数台作る、バラバラの物を作るより同じものを作る
・ポリ合板のある品番を選んで、メラミン化粧板とポリ合板を使い分ける


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